開催中の特別展

ヴェネツィアガラスの水族館 -きらめく 海の宝石-

会期 2022年 5月 24日(火) ~ 9月 5日(月)

※最終日の9月5日(月)は16:00閉館となります。(最終入場は15:30まで)

ヴェネツィアは、アドリア海最深部のラグ―ナ(潟)の上に築かれた、運河が縦横に走る水の都です。約5万㎢にもなるラグーナは、“ヴェネツィアとその潟(Venice and its Lagoon)”として1987年に世界遺産に認定されています。
また、ラグーナは、河川の淡水と海流の塩水が合流する地点に存在していることから複雑な環境となっており、動植物の活動が非常に活発で、その為、様々な生態系が集中しています。

“水の都・ヴェネツィア”という特異な環境で生まれ育ち、海の恩恵を受けながらも、時に脅威を感じながら独自のライフスタイルを築いてきたヴェネツィアガラスの巨匠達。まるで今にも動き出しそうなヴェネツィアガラスの海の生き物は、自然と共存してきた巨匠達の豊かな感性と表現力、そして、伝統に培われた類い稀なる高度な技術によってもたらされた賜物です。
本展では、その技術に裏打ちされた繊細かつ優れたデザイン性の作品を、展示室を水族館に見立て一堂にご紹介致します。

ヴェネツィアガラスの伝統的な技法を取り入れながら、ヴェネツィアをとりまく豊かな自然からインスピレーションを受けた色鮮やかで美しい作品の数々を、どうぞお楽しみ下さい。

作家紹介

アルフレード・バルビーニ(1912~2007)

ヴェネツィアのムラノ島で200年以上続くガラス職人の家に生まれた。
修行を積んだ後、22歳でマエストロ(ガラス職人最高の称号)の地位につき、その後も色々な工房に参画し、独創的な作品を次々と生み出した。
彫像作品を最も得意とし、海の生き物の世界を生き生きと表現したガラスの水槽シリーズを始め、洗練されたデザインの花器など作品の種類は多岐に渡り、その色彩と形の絶妙なバランスから国際的な評価も高く、現代美術の祭典であるヴェネツィア・ビエンナーレでビエンナーレ賞を受賞したほか、数々の輝かしい賞を得ている。
若い頃からラグーナで釣りをしていたバルビーニは、海の生き物の外見の特徴だけでなく、動きや表情に至るまでこと細かに研究していた。その観察力の鋭さから、それらの生き物をガラスで表現する際により自然の環境に近い状態で表現するというアイディアが浮かんだという。

ピノ・シニョレット(1944~2017)

ヴェネツィア生まれ。「自然とはそれ自体が芸術である」と考え、自然に惹きつけられ様々な生物・事物の作品を作り続けてきた。自然を『女性』『男性』『夢』の大きな3つのテーマを軸として制作をしている。
幼い頃よりガラス工芸に親しみ、14歳でガラス界の巨匠アルフレード・バルビーニの工房に弟子入りしたピノは、自分の時間のほぼ全てをガラス制作の技術習得に費やし、弱冠17歳にしてガラス職人最高の称号<マエストロ>の地位を得た。
ガラスで等身大の人物や馬を制作するなど大型造形を最も得意とし、ピノが制作した『世界一大きなガラスの馬』はギネスブックにも登録されている。とりわけ『命』が備えている美しさにこだわり、独自の解釈とイマジネーションを加え、作品へと昇華させている。

ヴィットリオ・コスタンティーニ(1944~)

レース編み工芸で有名なヴェネツィアのブラーノ島出身。
ガラスの棒をガスバーナーで熱しながら形作るランプワーク技法により、魚や昆虫、鳥など自然界の小さな生き物たちを題材に繊細で美しい作品を作り出すその技術や才能は、ブラーノ島の海や自然と密接に関わる生活環境や、繊細なレース編み工芸の伝統、また島中に溢れる鮮やかな色彩の影響が色濃くうかがえる。
幼少期から父親と一緒に漁に行く機会が多く、ラグーナで出会った小さな生き物たちに強く関心を持つようになる。
現在では、世界各国の美術館や博物館、大学などからも要請を受け制作を行っている。

展示作品の一部