開催中の特別展

ヴェネツィアン モダンアートガラス展 - 千年の伝統と革新 -

会期 2022年 9月 6日(火) ~ 12月 5日(月)

※最終日の12月5日(月)は16:00閉館となります。(最終入場は15:30まで)

ヴェネツィアガラスの千年の歴史の中で、ガラス作家たちは日々新たな発想、技術を求め、時代と共に様々な作品を生み出してきました。本展では、“モザイクガラス”や“レースガラス”などの伝統技法を駆使しモダンにアレンジして作られた数々の作品や、ヴェネツィアガラスの特長である色彩の美しさや色使いが特に際立っている不思議なアート作品など、美しいモダンアートガラスの世界をご紹介致します。

20世紀以降に発展してきた世界の現代ガラス芸術において、ヴェネツィアで千年に及び受け継がれてきた繊細かつ優れたデザイン性の作品は、作家やガラス工房の努力により他に類を見ない創造性と表現力を発揮し、一線を画してきました。

伝統技法と革新的なデザインを融合させた、ポップでありながらも優れた技術に裏打ちされたモダンアートガラス作品の数々。1800年代に設立され、難易度の高さにより廃れていた技法の再現や工房におけるガラス制作の教育を始めるなど、ヴェネツィアガラス界に新風を吹き込んだサルビアティ工房や、様々な分野の有名デザイナーを起用し数多くの作品を生み出してきたVENINI工房、ヴェネツィアガラス界を代表するアルキメデ・セグーゾやアルフレード・バルビーニ、ピノ・シニョレット、リヴィオ・セグーゾなど、巨匠達の自由な発想から生まれた芸術性の高い作品を、どうぞお楽しみ下さい。

作家紹介

アルキメデ・セグーゾ/Archimede Seguso(1909~1999)

 アルキメデ・セグーゾは、ヴェネツィアで500年以上続く名門のガラス工房で、マエストロ(ガラス職人の最高の称号)であるアントニオ・セグーゾの次男として生まれました。10代で吹きガラスの伝統技法を習得した彼は、伝統の技を非常に高いレベルで継承する一方、新しいフォルムや色を求め、革新的な技法の創造に取り組みました。
 1991年には、ヴェネツィアのドゥカーレ宮殿で個展を開催しましたが、ここで個展を開くことができたのは、現代のヴェネツィアガラス界の先駆者であったアルフレード・バルビーニとアルキメデ・セグーゾの2人のみであり、「最高の名誉」であるとされています。常にムラノ島のガラス職人たちの尊敬と羨望の的であったアルキメデ・セグーゾは素晴らしい功績を残し、ヴェネツィアガラス界の先導者として大きな役割を果たしました。

アルフレード・バルビーニ/Alfredo Barbini(1912~2007)

 ヴェネツィアのムラノ島で200年以上続くガラス職人の家に生まれたバルビーニは、修行を積んだ後、22歳でマエストロ(ガラス職人最高の称号)の地位につき、その後も色々な工房に参画し、独創的な作品を次々と生み出しました。
 彫像作品を最も得意とし、海の生き物の世界を生き生きと表現したガラスの水槽シリーズを始め、洗練されたデザインの花器など作品の種類は多岐に渡り、その色彩と形の絶妙なバランスから国際的な評価も高く、現代美術の祭典であるヴェネツィア・ビエンナーレでビエンナーレ賞を受賞したほか、数々の輝かしい賞を得ています。

ピノ・シニョレット/Pino Signoretto(1944~2017)

 ヴェネツィア生まれ。「自然とはそれ自体が芸術である」と考え、自然に惹きつけられ様々な生物・事物の作品を作り続け、自然を『女性』『男性』『夢』の大きな3つのテーマを軸として制作をしていました。
 幼い頃よりガラス工芸に親しみ、14歳でガラス界の巨匠アルフレード・バルビーニの工房に弟子入りしたピノは、自分の時間のほぼ全てをガラス制作の技術習得に費やし、弱冠17歳にしてガラス職人最高の称号マエストロの地位を得ました。ガラスで等身大の人物や馬を制作するなど大型造形を最も得意とし、ピノが制作した『世界一大きなガラスの馬』はギネスブックにも登録されています。とりわけ『命』が備えている美しさにこだわり、独自の解釈とイマジネーションを加え、作品へと昇華させています。

リヴィオ・セグーゾ/Livio Seguso
(1970~)

 ヴェネツィア、ムラノ島に生まれたリヴィオ・セグーゾは、14歳の頃からヴェネツィアガラス界の巨匠アルフレード・バルビーニの工房で修行を始めました。20歳でマエストロとなり独立し、30代からは現代彫刻の研究を行い、技術的・美学的見地から、ガラスの造形に取り組んできました。
 「ガラスを作る人生は決して楽ではないが、私の内に秘めた夢が作品の中で実現した時、その苦はきれいに消えてしまうのだ」と、リヴィオはガラス作りについて語っています。リヴィオは伝統的な技法を用いて、光による効果を最大限に生かした抽象作品を制作します。光の透過や反射といったガラスならではの特性を見極め、自分のイマジネーションを形にするため、常に新しい表現手法や造形の研究を行なっています。

サルビアティ工房/Salviati
(1859~)

 1859年、ガラスに関して全くの素人であった元弁護士のアントニオ・サルビアティが、エンリーコ・ポーディオ、ロレンツォ・ラーディと共にガラスモザイク工房として設立。サルビアティ工房はヴェネツィアガラス界に新たな風を吹き込みました。サルビアティ工房は、ロレンツォ・ラーディによって発展をみた玉髄ガラス(玉髄を模した不透明なガラス。一般的には地肌は濃色で、デリケートな色彩の縞模様がみられる。)で、1862年のロンドン万国博覧会でメダルを授与され、国際的
な評価を得るようになりました。その後、グラスや花器、シャンデリアなど、特に金の装飾を加えたものを得意分野として発展していきました。
 後に様々な形で評価を得るデザイナーや技術者が多く在籍しており、ガラス制作の技術を学べるよう学校(実際には工房における教育)を立ち上げた画期的な工房といえます。また、アベンチュリン(銅などが含まれ、砂金のようにキラキラと輝いて見えるガラス)、オパリーノ(不透明硝子)などの技術を再現したことでも知られています。20世紀に入ると、オブジェと照明の生産を中心に取り組むようになりました。1950年代にはルチアーノ・ガスパリがアートディレクターに就任し、高名な建築家と共同制作を始め、斬新でモダンな作風へと変化していきました。
 現在は、ブランドとしては残っていますが、工場は閉鎖されており、本展で展示している作品は他では見ることの出来ない、希少価値の高いものとなっています。

ヴェニーニ工房/VENINI
(1921~)

 1921年にヴェネツィア・ムラノ島で創業。国外に技術が漏れないよう12世紀からガラスの島・ムラノ島に秘められてきたヴェネツィアガラスの世界に、外部からデザイナーを招き、新しい時代感覚を反映してきた工房として知られています。
 伝統技法とモダンデザインの融合を目指し、自社デザインに加え、建築、美術、ファッションなど様々な分野の有名デザイナーを起用し、数多くの作品を生み出してきました。「125もの色を作り出せる」世界屈指のガラス工房で、色の多彩さを活かした芸術作品は世界的な評価も非常に高く、独自の世界を展開しています。

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