開催中の特別展

ヴェネツィアガラスの水族館
色とりどりに輝く海の世界

会期 2024年 6月 4日(火)~ 9月 2日(月)

※最終日の2024年9月2日(月)は16:00閉館となります。(最終入場は15:30まで)

 ヴェネツィアは、アドリア海最深部のラグ―ナ(潟)の上に築かれた、運河が縦横に走る水の都です。約5万㎢にもなるラグーナは、“ヴェネツィアとその潟(Venice and its Lagoon)”として1987年に世界遺産に認定されています。
 ヴェネツィアのラグーナは、河川の淡水と海流の塩水が合流する地点に存在していることから動植物の活動が非常に活発で、様々な生態系が集中しています。

 海に囲まれたラグーナの島々で生まれ育ったガラス作家達は、ラグーナや海、自然と関わりが深い生活環境の中で過ごし、創作の着想を得るために水辺の生き物を注意深く観察することもありました。
 本展では、ヴェネツィアを代表するピノ・シニョレットやアルフレード・バルビーニ、VENINI工房などが海にまつわる生き物をそれぞれの技術と感性で表現した、多彩な作品を一堂にご紹介致します。

 水のようなガラスブロックの中を揺蕩うクラゲや魚、ユーモラスな佇まいのペンギンやシロクマ、『ウニ』などのモチーフをアートに昇華させた作品など、ヴェネツィアガラスの伝統を現代に受け継ぎ発展させてきた作家や工房による色鮮やかで個性溢れる作品の数々を、どうぞご堪能ください。

主な作家

アルフレード・バルビーニ|Alfredo Barbini 1912~2007

ヴェネツィアのムラノ島で200年以上続くガラス職人の家に生まれた。
修行を積んだ後、22歳でマエストロ(ガラス職人最高の称号)の地位につき、その後も色々な工房に参画し、独創的な作品を次々と生み出した。彫像作品を最も得意とし、海の生き物の世界を生き生きと表現したガラスの水槽シリーズを始め、洗練されたデザインの花器など作品の種類は多岐に渡り、その色彩と形の絶妙なバランスから国際的な評価も高く、現代美術の祭典であるヴェネツィア・ビエンナーレでビエンナーレ賞を受賞したほか、数々の輝かしい賞を得ている。
若い頃からラグーナで釣りをしていたバルビーニは、海の生き物の外見の特徴だけでなく、動きや表情に至るまでこと細かに研究していた。その観察力の鋭さから、それらの生き物をガラスで表現する際により自然の環境に近い状態で表現するというアイディアが浮かんだという。

ピノ・シニョレット|Pino Signoretto 1944~2017

ヴェネツィア生まれ。
「自然とはそれ自体が芸術である」と考え、自然に惹きつけられ様々な生物・事物の作品を作り続けてきた。自然を『女性』『男性』『夢』の大きな3つのテーマを軸として制作をしている。幼い頃よりガラス工芸に親しみ、14歳でガラス界の巨匠アルフレード・バルビーニの工房に弟子入りしたピノは、自分の時間のほぼ全てをガラス制作の技術習得に費やし、弱冠17歳にしてガラス職人最高の称号<マエストロ>の地位を得た。
ガラスで等身大の人物や馬を制作するなど大型造形を最も得意とし、ピノが制作した『世界一大きなガラスの馬』はギネスブックにも登録されている。とりわけ『命』が備えている美しさにこだわり、独自の解釈とイマジネーションを加え、作品へと昇華させている。

ヴィットリオ・コスタンティーニ|Vittorio Costantini 1944~

レース編み工芸で有名なヴェネツィアのブラーノ島出身。
ガラスの棒をガスバーナーで熱しながら形作るランプワーク技法により、魚や昆虫、鳥など自然界の小さな生き物たちを題材に繊細で美しい作品を作り出すその技術や才能は、ブラーノ島の海や自然と密接に関わる生活環境や、繊細なレース編み工芸の伝統、また島中に溢れる鮮やかな色彩の影響が色濃くうかがえる。幼少期から父親と一緒に漁に行く機会が多く、ラグーナで出会った小さな生き物たちに強く関心を持つようになる。
現在では、世界各国の美術館や博物館、大学などからも要請を受け制作を行っている。