ヴェネツィアはイタリア北部の小さな島々の上に作られた「水の都」として有名な街です。かつては東方との貿易により巨万の富を築き、一大海洋国家として世界に君臨しました。ヴェネツィアに立ち並ぶ数々の貴族の宮殿と街の佇まいは、現在も変わらずその姿をとどめています。

 北一ヴェネツィア美術館は、ヴェネツィアで古くから受け継がれてきた豊かで潤いのある文化をご紹介し、今では職人の数も減りつつありさらに価値が高まっているヴェネツィアガラスの優れた作品を保存して後世に伝えていくため、1988年に設立されました。
 世界の<ガラス>に目を向ける中で、ヴェネツィアガラスは一千年の歴史に育まれた世界最高峰の技術を現在まで継承してきた伝統があり、また美術的価値も高いことから、ガラスの街小樽でガラスの魅力を多くの方に知って頂くため、ヴェネツィアガラスを収集・展示することとなりました。ヴェネツィアのガラス工房と多くの作家が設立趣旨にご賛同下さり、多彩なジャンルのヴェネツィアガラス作品の収蔵に至っています。

 美術館の外観はヴェネツィアに現存するグラッシィ宮殿をモデルに建てられ、展示室は、内装、展示品、家具調度品に至るまで全てをヴェネツィアン・スタイルで統一し、ヴェネツィアの文化的な成熟期である18世紀頃の貴族の暮らしを再現しています。

 小樽とヴェネツィアには、運河のある街、ガラス工芸が盛んである、かつて海上貿易で栄えた歴史がある、など多くの共通点があります。また、小樽も古い時代の建物や伝統などを残して活用していますが、ヴェネツィアはそのモデルとなるような街でもあります。そのような伝統あるヴェネツィアガラスの繁栄の歴史と共にあった『ヴェネツィア貴族の豊かな暮らし/生活様式』そのものを紹介する展示形態としていることが、当館の大きな特徴です。

 四季折々のヴェネツィアの暮らしと生活文化をご覧頂きながら、『小樽にいながらヴェネツィア旅行』をどうぞお楽しみ下さい。