春、夏、秋、冬 ―――
 ヴェネツィア貴族の四季折々の優雅な暮らしをご紹介するため、季節ごとに年4回の展示替えを行なっています。

春のテーブルコーディネート

春を呼ぶパスクア(復活祭)のテーブル

 キリスト教の人々にとってナターレ(イタリア語でクリスマスという意味)と並ぶ重要な行事である春のイベント、パスクアの食卓をイメージしたテーブルセッティングです。卵型の器やグラスセットの表面には、桜の花や桜の下でパ楽器を奏で戯れる春の女神がエナメル彩技法によって描かれています。
 パスクアとは、一度十字架に架けられたキリストが三日後に復活した事を記念する行事で、毎年春分後の満月の次の日曜日に開催されており、日本ではイースターとしても知られています。

春のコーヒーテーブル

 初春のヴェネツィアの運河のような爽やかなブルーグリーンの色合いのグラスが美しいコーヒーテーブルです。花器は「カメオガラス」と言われる貝などに彫刻をするカメオ技法と同じ方法で、17世紀頃の春の情景をイメージし、若い貴族が山の滝を眺めながら春の訪れを楽しむ様子が彫りこまれています。
 テーブルクロスには、ハンドメイドで赤い薔薇が刺繍されています。

金と赤に輝く春のテーブル

 グラスやセンターピース、キャンドルスタンドなどに、華やかな金箔装飾が施されています。金箔装飾はローマ時代にも行なわれていた技法で、半溶融状態のガラスに金箔や金粉をつけ、ガラスに溶着させたものです。息を吹き込むとガラスの素地と一緒に金箔が細かく散らばり、とても華やかな効果を得ることができます。
 ヴェネツィアンレッドのバラの装飾をアクセントに、金と赤に輝く優雅なテーブルセッティングが、春にふさわしいディナータイムを演出しています。

春を呼ぶレースガラスのディナーテーブル

 白とピンクの配色が春らしい印象のディナーテーブルを華やかに彩るのは、高度な技術により作られたレースガラスです。また、テーブルクロスには、「ロゼリーナ」と呼ばれるピンクの野薔薇が可憐に刺繍されています。「ロゼリーナ」は4月に約15日間だけ咲く小さな花で、18世紀に典型的な模様として用いられました。

春のチョコラータテーブル

「チョコラータ」とは、チョコレートを溶かして作る甘い飲み物です。貴族が朝の目覚めに飲む習慣があったほど、17~18世紀のヴェネツィア貴族の間で流行していました。
 こちらのテーブルセッティングはチョコラータを飲むためのセッティングで、赤色のカップが春の暖かな室内を演出しています。また、テーブル上のプレートには、布レースが敷いてあるように見えますが、実際はエナメル彩という技法によって繊細なレース模様が描かれています。

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