春、夏、秋、冬 ―――
ヴェネツィア貴族の四季折々の優雅な暮らしをご紹介するため、季節ごとに年4回の展示替えを行なっています。

秋のテーブルコーディネート

秋の果実と鹿のディナーテーブル

 グラスやセンターピースの表面には、狩猟の季節をイメージし、グラヴィール技法によって、繊細な鹿の模様が彫り込まれています。中央の皿には、ガラスで作られたブドウやイチジクなど秋の果実が豪華に盛られています。 テーブルクロスには、ブドウの葉やヴェネツィアを取り囲むラグーナ(潟)特有の植物の他、とんぼなど秋の風景を連想させる刺繍が施されています。
 17~18世紀の貴族にとってディナーは交流の場として重要な役割を果たしており、毎日のように客人をもてなし、楽しんでいました。

秋のコーヒーテーブル

 秋らしく落ち着きのある色合いが美しいコーヒーのセッティングです。コーヒーカップは20世紀初頭に作られた形状で、ヴェネツィアで大流行したコーヒーの習慣を現在に伝えています。
 花器はカメオガラスと言われ、貝などに彫刻をするカメオ技法と同じ方法で秋の風景が繊細なタッチで彫り込まれています。深紅のガラスの上に乳白色のガラスを被せ、ダイヤモンドを使用したペンで、木々や森の動物、水差しを持つ女性像 など細かな質感まで丁寧に作られています。

秋のごちそう キジのテーブル

 秋になると中世の貴族達は、娯楽としてまたスポーツとして狩を楽しみました。ヴェネツィア周辺のラグーナ(潟)には海鳥、樹木の茂った浜辺にもキジやウズラ、鹿など格好の狩猟の対象の動物が多く棲みついており、狩猟が盛んに行なわれていました。また、その狩猟で得た獲物は季節のご馳走として食され、宴のメイン料理としてお客様に振るまわれることも度々ありました。
 こちらのテーブルは、プレートやグラスに至るまでキジの図柄でコーディネートされています。季節の旬な食材とともに、季節に合わせた優雅で美しい食卓で食事を楽しもうとする貴族の心の豊かさが伝わってくるようです。

収穫の秋を象徴するレモンのテーブル

 ヴェネツィアの料理に欠かせないレモンが、テーブルの主役として登場しています。大小様々なガラスのレモンが中央の大皿に盛られ、グラスの脚の部分やテーブルクロスにもそのデザインがあしらわれています。
 グラスの脚部分はガラスのレモンと緑の葉で装飾され、円錐形になっています。その円錐形の部分は、ギリシャ神話において豊かさの象徴とされている“豊穣の角”(幼少期のゼウスに授乳したと伝えられているヤギの角)の形を表しています。また、テーブルクロスには、豊かに実ったレモンや熱帯のハチドリ、蝶が、繊細な手刺繍で描かれています。

秋のチョコラータテーブル

 「チョコラータ」とは、チョコレートを溶かして作る甘い飲み物です。貴族が朝の目覚めに飲む習慣があったほど、17~18世紀のヴェネツィア貴族の間で流行していました。
 こちらのテーブルセッティングは、チョコラータを飲むためのセッティングで、琥珀色が秋らしさを感じさせます。また、テーブル上のプレートには、布レースが敷いてあるように見えますが、実際はエナメル彩という技法によって繊細なレース模様が描かれています。

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